この記事では、40代の現役IT系フリーランスである筆者が、IT系職種ごとの単価と高単価を得るために必要なスキルを身に着ける方法について記載します。
筆者は、ITコンサル・PM・ITエンジニア(SE・PG)などを正社員として20年経験した後に、フリーランスとして独立して現在は3年目です。
今のところフリーランスとしての活動は順調に進んでおり、収入も自由な時間も会社員時代より多く確保でき、ストレスもほぼない状態です。昨年は、節税対策のために個人事業主から法人化しました。
フリーランスとしての活動中の案件は、エージェント経由で紹介されており、現在、4社のクライアントと継続取引中です。案件の種類は、PMO/業務改善支援/要件定義支援/技術支援など、様々な立場で仕事をしております。
このような立場の筆者がIT系フリーランスエンジニアの現実を踏まえてお伝えいたします。
- この記事の要約
- フリーランスの収入は正社員より多く得る必要があるのか?
- IT系フリーランスの職種別の単価(税抜です)
- 筆者のお薦めは?
- どのようにフリーランスとしてのスキルを構築していくべきか?
- (実例)筆者が正社員からフリーランスとして独立するまで
- 最後にご紹介
この記事の要約
長いので全部読むのが面倒な方はここだけ読んでください
- フリーランスは正社員と同等の収入を得ようとすると、正社員より1.2~1.3倍の収入を得る必要がある
- 以下は、IT職種別単価。あくまでアプリ系の筆者が多数の案件を見てきた中での主観です。AIやクラウドやSAPなど例外もあるかと思います。
- プログラマ:60万円~80万円
- 開発系SE:80万円~100万円
- 要件定義SE:100万円~140万円
- ITコンサル:120万円~200万円
- PM(PMO):100万円~140万円
- 筆者のお薦めは、人材が少ない(案件が豊富にある)要件定義SEかPM(PMO)。案件掛け持ちもしやすいのでリスクヘッジにもなる。
- フリーランスとして単価を上げるためのスキルを身に着けるには、正社員として経験を積むことが重要(できれば管理職まで経験を積みたい)。フリーランスだけでのスキル向上は難しいのではないか。
- その理由は、正社員であれば自分の能力以上の仕事にチャレンジできる環境があるから。フリーランスの立場だとチャレンジはしづらい。
フリーランスの収入は正社員より多く得る必要があるのか?
最初にフリーランスの収入について、正社員より多く稼ぐ必要と言われますが、実際はどうなのでしょうか。これは筆者の体験ですと、正社員の1.2~1.3倍くらいあれば同程度という印象です。
詳細はこちらをご覧ください↓↓↓
ITエンジニアのフリーランスと会社員の徹底比較。現役フリーランスが解説します。
なお上記の記事は個人事業主を前提として記載しておりますが、現在は法人化しましたので、必要な収入額は若干変わってきております。
法人化した場合、会社員と同じく給与(役員報酬)という形で法人から支給されるのですが、年収1000万円を給与(役員報酬)として支給する場合、諸々の法人経費を含めて、1300万円程度の収入が必要となります。
IT系フリーランスの職種別の単価(税抜です)
ここからは(筆者が知っている限りの)IT系フリーランスの職種別の単価を記載します。統計的なデータではありませんが、筆者が様々なエージェントに案件を紹介頂いた中での実体験に基づいた単価ですので、ある意味リアルではあるかと思います。
ちなみに同じ職種でもクライアントの種類やプロジェクトの規模感によって大きく単価に差があります。たとえば、売上高1兆円の大企業と数百億円の中堅企業では、同じ職種でも単価は大きく変わってきます。
※なお筆者はずっとアプリ系がメインですので、AIやインフラ回りの職種については割愛させていただきます。今はやりのAIやAWSとかのクラウド系?であればもっと単価が高い案件もあるかもしれません。
プログラマ
60万円~80万円くらいの印象です。言語によって若干の差異はあると思うのですが、どの言語だとしてもこれを大きく上回ることはなさそうです。
またプログラマは年齢による壁もありそうです。40歳を超えてくると大きく案件が減る印象です。というのは、案件の募集要項に40歳くらいまでというのをよく見かけるからです。ですが、人によって本当にスキルが高い人はあまり関係ないのかもしれません。
余談ですが、私の印象としては、40歳を超えてくるとスキルがあるのは当然ながら、人間性が大事な要素かと思います。この年齢になると、クライアントのリーダが自分より若いことが多くなるかと思いますが、自分の方が豊富な経験がある場合に、進め方に色々と文句をつけたくなることもあるかもしれません。
その際、自分の意見は主張しすぎずに、たとえ不合理だと思っても一度は受け入れて、謙虚に進めていくことが大事かと思います。仮に自分の意見が全くの善意から出ており、プロジェクトのためにと思っても、主張しすぎるのはNGです。一度は失敗してもしょうがないくらいの寛容さが重要かと思います。
開発系SE(基本設計、詳細設計、プログラマへの指示出しなど)
ここでは主に設計フェーズを担当するSEを開発系SEとしております。
単価としては、80万円~100万円くらいの印象です。
私の印象では、この職種の案件はあまり見かけたことがありません。理由は2つあると思っていまして、一つ目はプログラマの職種に吸収されること(たとえばアジャイルなどの開発であれば設計とプログラミングをあまり分ける必要がない)、2つ目は大規模な基幹系システム開発であれば、正社員の方が担当することが多い印象を受けました。
いずれにしろプログラミングはできないけど設計だけできるというのは、若干中途半端な立ち位置なのかな?と個人的には思います。
要件定義SE(人によってはITコンサルと呼ぶ?)
クライアントの施策を実現するために、To-Be業務の定義とその業務を実現するための必要なシステム機能を洗い出す職種を要件定義SEと呼んでいます。
単価としては、100万円~140万円くらいの印象です。この職種は、業務定義のためのユーザ目線とシステム開発につなげるためのIT目線の2つの目線が必要になるためか、あまり人材がおらず、常に案件があります。また年齢もあまり関係なさそうです。
あまり人材がいないというのは、大手コンサル出身の業務系コンサルの人はITの知見に乏しく(特に開発に関する知見がない)、IT系の人はユーザの業務知識やコミュニケーションスキル(資料を作ってユーザと合意形成する)が不足していることが多く、両方のスキルを持っている人がほとんどいないという意味です。
とはいえITシステムの開発においては、このフェーズでの成果物が品質に直結する部分だと考えられますので、非常に重要な役割だと考えております。
ITコンサル
経営課題に対して課題を分析し、施策を検討し、施策を実現するための業務改善やシステム導入を検討する人です。
単価としては、120万円~200万円くらいの印象です。
この辺りの仕事はコンサル企業が担当していることが多く、案件のクライアントはコンサル企業がほとんどで、そのプロジェクトチームのメンバとして働くことがほとんどです。
単価は高いのですが、大手ITコンサル企業から独立してフリーランスとなった人とスキルが被るので、案件の競争率としては高いですし、どうしても大手コンサル出身者の方が有利となります。
ですが昨今はコンサル業務においてもIT(後工程であるシステム開発に関する知見が重要)という風潮が広まってきており、そういった知見を持つ人の案件もあったりはします。
PM・PMO
要件定義から設計/開発/テスト/リリースまでPM(もしくはPMO)として担当する職種です。フリーランスなので、正社員の方をPMとしてメインで立てつつ、自身はPMOとして支援するという立場を取る形態も多いです。
単価としては、100万円~140万円くらいの印象です。
この職種も慢性的に人不足なようで、案件の数はたくさんあります。またマネジメントに徹するのであれば、複数案件の掛け持ちも可能です。
また、立場がユーザ企業のPM(PMO)なのか、ITベンダ側のPM(PMO)なのかでも役割が大きく変わってきます。
ユーザ企業系のPMであれば、社内SEとしての動きが必要となります。業務部門とのコミュニケーション(システム要件の整理)、社内手続きの支援、プロジェクト全体の進捗管理、課題管理、ベンダマネジメント、プロジェクトオーナーへの報告などが仕事となります。
ベンダ系のマネジメントですと、開発に係る進捗管理、課題管理、成果物レビュー、品質管理、クライアントへの報告がメインの仕事となります。
筆者のお薦めは?
(あくまで筆者個人の感想ですが)お薦めは、要件定義SEかPM(PMO)です。理由は単純で、慢性的に人手不足だからです。単価も高く、年齢制限もほとんどありません。
またやりようによっては、両職種とも1案件への工数を減らしても、クライアントへの価値は十分に提供できますので、たとえば工数0.5ずつとかで2案件の掛け持ちも可能です。そのうえで、クライアントを分けておけば、将来のリスクヘッジへもつながると考えます。
一方、プログラマや開発系SEは、若干、将来のことが不安です。もし一生プログラマとして活動したいのであれば、若いうちに他にも収入源を作っておいた方が安全かもしれません。たとえば、自分でサービス立ち上げるとか、投資でお金を増やす仕組みを作るとかでしょうか。
ITコンサルは大手コンサル出身者と守備範囲がぶつかるので、大手出身者の方が有利になり競争率は高いですが、ITの知見を求められているクライアントも多いので、そこは有利に働くかと思います。(大手の方は業務系コンサルでITの知見が無い人も多いので)
どのようにフリーランスとしてのスキルを構築していくべきか?
フリーランスではスキルアップは難しい
一方、フリーランスでは成長(挑戦)することが難しいと感じております。
なぜならフリーランスは、自分のできることに対してしか、仕事を引き受られないからです。自分ができるかどうかわからない挑戦的な仕事を引き受けるのは、リスクが高いです。もし失敗したら、その責任を受けるのは全て自分です。即日、契約終了。最悪は、訴えられるかもしれません。
発注者側の視点からみても、できるかどうかわからないけど挑戦したい、という人に通常は仕事を発注しません。たとえば、開発者としての経験しかないけど、PMの仕事に挑戦したい、といってもフリーランスだと難しいですよね。書類選考の時点で落ちる可能性が高いです。
自分のできることしかできない(挑戦できない)ので、成長するのは困難です。
スキルを横に広げるのは自分の努力でできると思います。たとえば今までとは異なるプログラミング言語を勉強したり。
ですがここで言っているのは縦のスキルです。繰り返しになりますが、開発者からPMへ挑戦するなどです。なぜならPMなどは机上の勉強よりも実地経験の方が大切だからです。その理由はたくさんの利害関係と感情を持った人間を調整しないといけないから、どうしてもアナログな経験値が必要になります。
ですので結論としては、フリーランスになってから単価を上げるのは困難。単価を上げるには、正社員時代にしっかりと経験を積む必要がある。という事になります。
正社員として経験を積むことがベスト
ですので、筆者としては、正社員としてPMや要件定義SEなどの経験を積んだ後でフリーランスとして独立するのがベストかと思います。
正社員であれば自ら手を上げさえすれば、チャレンジさせてくれる企業がほとんどかと思います。仮に若手のエンジニアの方がPM経験をしたいと会社に希望を伝えれば、喜んでチャレンジさせてくれるでしょうし、会社としても全面的にフォローしてくれるはずです。
またできれば、正社員として管理職としての立場を経験できればなお良いです。その理由は、クライアントの担当者も管理職であることが多いからです。
クライアントを支援する際に、自身が管理職であった経験から担当者の振る舞いや気持ちに共感できると、様々な活動において相手方の全然印象が変わってくると思います。
正社員として過ごすときの心構え
正社員のうちにスキルアップを目指す方は、漫然と受け身で正社員として過ごすのではなく、主体的に動くことが重要になります。
今身に着けるべきスキルを明確にして、そのスキルを身に着けられるプロジェクトやポジションを経験できるよう会社側に訴えかけていく必要があります。もし会社が要望を受け入れてくれない、もしくはそもそも希望するような案件がない場合は、自身のスキルアップにつなげるような別の会社に転職することをお薦めします。
IT業界では転職におけ明確な目的と合理的な理由があれば、転職回数は通常気にされません。自分の目標に向かって転職を活用すればよいかと思います。(もちろん一社で必要なスキルを身に着けられればそれでもよいです。念のため。)
例えば分かり易い例ですと、
プログラミングを身に着けたい:プログラミングができるSES企業
↓
SEとして設計スキルを身に着けたい:請負開発をやっている中堅SIer
↓
最上流のスキルを身に着けたい:ITコンサル企業
みたいな感じです。
(実例)筆者が正社員からフリーランスとして独立するまで
ここからは筆者が正社員からフリーランスとして独立するまでに考えていたことや心掛けていたことを記載します。
正社員からフリーランスとしての独立を目指した理由
筆者は転職を繰り返しながら、正社員を20年ほど続けた後で、40歳を機にフリーランスとして独立しました。
筆者の転職遍歴はことら↓↓↓
高卒から年収1500万円のITコンサルへ。7回の転職を経てフリーランスとして独立した転職遍歴を暴露します。 - 現役ITコンサルタントがIT業界で頑張る人を応援します!
20代前半のころから、40歳で独立することを目標としていました。理由は、性格的に組織や人間関係が苦手で、自分の事しか考えておらず、出世するのは難しいと考えており、40歳以降に会社勤めをするイメージが浮かばなかったからです。
その分、個人としてのスキルには若いころから自身があり、かつスキルアップにも励んでおりました。というかただでさえはぐれ物なのに、スキルも無ければ本当にただの役立たずだという強い危機感を持っておりました。
当時、会社の上司から将来どうなりたいのか?と聞かれて「自由になりたい」と答えて、笑われていました。(おそらくワンピースの影響を受けていたのだと思います。)
もっと早い段階で独立する機会もあったのですが、筆者は自分がこれ以上成長できないと感じられるまでは、正社員で仕事をしようと決めていました。なんとなく、一度フリーランスになってしまうとそれ以上はスキルアップできないと思っていたからです(そして後程わかりますがこれは事実です)。
筆者の考える成長とは、
- より顧客に近い立場・目線で仕事をする
- エンジニア目線で実現可能なシステム提案を行う
この業務・システムの両輪を同時に実現し、顧客・SIerの両方をWin-Winにすることができるスキルを身に着けること、これを成長と位置付けていました。
結果的に6社目のITコンサルティング会社で、顧客側の立ち位置で業務設計・システム構想まで経験させていただき、そろそろ潮時かなと思い、フリーランスとして独立しました。(とはいいつつも本音の部分をいうと、コンサル会社でこれ以上は出世できない、と自分の限界を感じたということもあります。)
独立して思わぬ高単価案件に出会う
独立前はなんとなく80万円くらいが相場なのかな?と考えていたのですが、独立して驚いたのは、100万円越えの高単価案件がたくさんあることでした。
フリーランスとして独立してから3年ほど経ちますが、今、改めて思うのは、20年間正社員でしっかりとスキルアップをしたうえで、フリーランスとして独立する、という戦略は正しかったということです。
正社員時代により顧客に近い立場で仕事をするスキルを獲得したため、独立後の案件は、PMやPMO・構想フェーズ・要件定義などがメインとなりました。
どうやらこの辺りをできる人が、IT業界においても絶対的に少ないようで、その結果、高単価(100万円以上)案件を継続的に受注することができております。
また正社員時代の管理職の経験や提案営業を行っていたことも、独立して非常に役立っております。顧客の管理職の方々の考えが理解でき、社内のややこしい状況に苦しんでいることを共感できる。また契約時の提案や金額交渉の局面でも優位に立ちまわることができております。
最後にご紹介
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