この記事ではITエンジニアのフリーランスである筆者が、フリーランスのメリットについて記載します。筆者は正社員として企業に20年間勤めた後、40歳でフリーランスとして独立し、その後、個人事業主から法人化して現在3年目です。
この3年間を振り返ってみるとフリーランスにはメリットしかなく、デメリットが1つもないことに気づきました。そんな筆者が世間で言われているフリーランスのデメリットに対してことごとく反論してみたいという主旨になります。
筆者の経歴(転職遍歴)はこちら↓
専門学校卒から年収1500万円のITコンサルへ。7回の転職を経てフリーランスとして独立した転職遍歴を暴露します。
- 世間で言われているフリーランスのデメリットへの反論
- 最後にご紹介
世間で言われているフリーランスのデメリットへの反論
収入が不安定
世間ではフリーランスは収入が不安定と言われています。その理由は、案件ごとに収入を得ているから、たとえば今月の収入が50万円でも、来月には案件がなくなり収入が0円になる可能性もあるからとのことです。
不安定ということは上限も決まっていない。働けば働くだけ稼げる
収入が不安定というのは確かに事実で、フリーランスの収入は月によって変動します。ですがこれは負の側面しか見ていません。月によって変動するという事実を逆に捉えれば、収入を増やすこともできると言えるかと思います。たとえば今月の収入が50万円でも、来月は案件を増やして収入が100万円になることだって十分ありえます。
不安定という言葉が、給与として毎月決まった額の収入を得るという意味を指しているのであれば毎月収入が変動するフリーランスは不安定と言えますが、逆にフリーランスのメリットとして、稼ごうと思えばいくらでも稼げるということも言えるかと思います。
そもそも会社員だとしても収入が安定しているとは必ずしもいえません。賞与によって年収は大きく変動します。(少し昔の話ですが、筆者もリーマンショックの時に賞与がほぼ0円になりました。)またクビになってしまえば収入が0円です。またどんなに頑張ったとしても収入はほとんど増えません。
もし会社員と同じように安定的に毎月同じ収入が欲しいのであれば、法人化すればよいのです。法人化すれば役員報酬という形で毎月同額の給与を得ることが出来ます。
そのうえで、数年単位の長いスパンで収入について考えてみると、稼げるときに稼いで多額の貯金ができるフリーランスの方が安定しているとも言えるのではないでしょうか。
正社員と同等の収入を得ようとすると、1.2倍の収入を稼ぐ必要がある
フリーランスであれば社会保険料や各種税金の支払いが必要となるため、正社員時代より多くの収入を得る必要があるということです。具体的には以下の支払が必要となります。
- 所得税 ※正社員より必要経費が少なくかつ収入によっては税率が高い
- 住民税 ※所得税と同様
- 消費税 ※売上に対して消費税がかかる
- 国民保険 ※全額自己負担(正社員の健康保険料は会社と折半)
- 国民年金+国民年金基金 ※全額自己負担(正社員の厚生年金は会社と折半)
フリーランスの単価は会社員の給与より高いので心配する必要はない
これは事実で筆者の認識も同じです。具体的には、筆者の場合は法人化していますので法人化した場合の例になりますが、役員報酬として年収1000万円を受け取ろうとすると、経費や社会保険料などを込みで、1200万円ほどの収入が必要になります。
そういわれると大変そうに思えますが、フリーランスの単価は会社員時代の給与より高いです。なぜなら企業間で取引される金額が収入になるからです。また上記にも記載しましたが、会社員と違って稼ごうと思えばいくらでも稼げます。ですので、これについてはそれほど恐れる必要はないです。
ITエンジニアとしてのフリーランスの単価については以下の記事を参考にしてください。↓↓↓
IT系フリーランスエンジニアにおける職種別の単価と単価100万円以上を稼ぐためのスキルを身に着ける方法について - 現役ITコンサルタントがIT業界で頑張る人を応援します!
個人事業主の所得税が高すぎると感じた場合は法人化をお薦め
所得税はざっくりというと「収入-経費×所得税率」という計算です。
正社員とフリーランスで異なる点としては、経費の額が大きく異なるということです
正社員の場合は、必要経費として年収に応じて控除できる経費の額が決まっているのですが、これが結構多額なのです。たとえば年収が1200万円だとすると、195万円の控除が可能となります。
一方フリーランスの場合ですと、使った経費がそのまま控除できる金額となりますが、IT系の仕事では経費はほとんど発生しません。年間50万円もいかないかと思います。参考までに私の経費は以下のような感じです。
- 作業場所代(カフェとか)
- 自宅の家賃や電気代
- スマホ、ポケットWiFi
- パソコン代(数年に1回)
- 電車代などの交通費
- Office365
- ウイルス対策ソフト
- 交際費(取引先との食事など)
- クリーニング代
- 自動車のガソリン代
その差は145万円です。この場合の所得税率は33%なので、納税額として約48万円をフリーランスの方が多く収める必要があります。
また単純に収入が増えると所得税の納税額が多くなるという問題もあります(これは正社員でも同じですが)。おおよそですが年収が1000万円を超えてくると、所得税率は33%です。33%というと稼いだお金の約3割が税金に取られる計算です。
ですので、これくらいの年収になってくると節税対策という意味でも法人化する事をお薦めします。
フリーランスが納税する消費税は実は得している
会社員時代にはまったくなかった概念として、フリーランスの売上には消費税がかかります。
おおまかにいうと売上に含まれる消費税相当額の約50%を納税する必要があります。
これだけ聞くと損をしているようですが、実はそんなことはありません。なぜなら正確に言うと消費税を負担するのはクライアントである企業側だからです。
例えばフリーランスが提供するサービスの価格が100万円だとすると、消費税は10万円になりますが、企業からは消費税を含めた110万円を売上として受け取ることになります。
そしてこの消費税10万円を納税するのは、受け取ったフリーランスですが、実態として負担しているのはクライアント企業です。しかも納税額は50%すなわち5万円ですむので、残りの5万円はフリーランスが得をしていることになります(厳密には正しくないですが大まかな概念として捉えていただきたいです)。
世間で問題になっているのは、フリーランスが提供するサービス価格の100万円が税抜価格か税込価格かということです。税抜価格であれば上記に記載したとおり、得をしているのはフリーランスです。
しかしながらこの100万円が税込価格であれば、正確なサービス価格は税抜91万円です。この認識がフリーランス側にないと、消費税の9万円分を損している気持ちになりますが法律的には何も間違っていないことになります。
社会保険の負担額は増える
個人事業主であれ法人化したのであれ、社会保険の負担額は正社員のときより増えます。なぜなら正社員ですと社会保険を会社と従業員で折半しますが、フリーランスであれば自分で全額負担する必要があるためです。
税金や収支の処理を自分で行わないといけない
これは上記に記載した、所得税に関する確定申告などの経理業務を自分で行う櫃王があり手間がかかるというデメリットです。
個人事業主でIT系の仕事であれば経理業務にほとんど時間がかからない
これについては事実そうで、自分で行わないといけないのですが、時間はほとんどとられません。IT系の仕事に話を限定すると、IT系では経費がほとんどなく、収入も月単位であることが多いので処理すべき業務量が少ないのです。
また昨今ではクラウドでの会計システムが非常に発達しており、月3千円程度で、日々の記帳から確定申告まで簡単にできます。
時間にすると月次で2時間程度、確定申告でも一日あれば十分終わります。申告から支払まで、オンラインで完結できるので税務署に行く必要もありません。
そのほか領収書を保管しておいたり、請求書を発行するなどの業務もありますが、これらは正社員でも経費精算とかで普通にやる業務かと思いますので、手間としては正社員の時と変わりません。
そのため、個人事業主であれば十分自分でこなせる業務量かと思います。
法人化した場合は税理士にお願いするのがよい
一方、法人化した場合は、上記の業務に加えて役所などへの様々な手続きが必要になります(社会保険手続きや給与支払や年末調整や償却資産税などもろもろ)。これら全て自分で行うのは難しいかと思いますので、その場合は、全て税理士に一任すればよいのです。
筆者も法人化した後に税理士にお願いしていますが、全部やってくれるので、法人としてどういった手続きが必要かを自分で把握できていません。結果、個人事業主の時より経理に関する業務量は減りました。
仕事面における企業からのサポートが受けられない
これは正社員の立場であれば、わからないことや困ったことがあれば、上司や同僚に相談できるが、フリーランスであれば一人で解決しないといけない、というデメリットです。
個人のスキルで達成可能な案件を請けることが基本
これは事実ですので、フリーランスとして仕事を請ける場合は、自分のスキルで十分に達成可能な案件を請けることが基本です。上記の理由で少しでもチャレンジングになるような案件を受けることはリスクが高いです。
仮に失敗した場合、契約終了で済めばまだマシで、場合によっては報酬を貰えない、最悪の場合は訴えられることもあるかもしれません。
サポートがない事に不安を感じるならフリーランスにならないほうがよい
そもそも論になりますが、フリーランスとして独立する方は、自分個人のスキルに自信があるから独立すると思うのです。なので企業からのサポートが受けられないというような不安を感じる人は、独立せずに正社員として勤めた方が絶対によいです。
フリーランスではスキルアップは難しい。スキルアップするなら正社員で
また同じ理由でフリーランスとしての立場でスキルアップするのも難しいです。スキルアップしたい場合は、正社員として企業からサポートを受けながら、チャレンジングな案件をこなすことが必須になるかと思います。
フリーランスのスキルアップについてはこちら↓
IT系フリーランスエンジニアにおける職種別の単価と単価100万円以上を稼ぐためのスキルを身に着ける方法について - 現役ITコンサルタントがIT業界で頑張る人を応援します!
一方、正社員であれば何でもかんでも上司に報告する必要があり、これが非常に面倒なのですが、フリーランスであれば自分一人で完結できるというメリットがあります。これは仕事の効率化という観点で非常に重要です。正社員から離れてみて、いかに社内向けの報告業務に時間を使っていたかという事がよくわかりました。
福利厚生がなく収入が守られない
これは正社員であれば仮に働けなくなった場合に、傷病手当金がもらえるため収入が守られるが、個人事業主のフリーランスの場合は働けなくなっても傷病手当金がもらえない、また将来の年金についても厚生年金より国民年金の方がもらえる額が少ないという事かと思います。
傷病手当金は民間の保険で正社員と同等の保障はカバーできる
たしかに個人事業主の場合は、国民保険に加入することになりますので傷病手当はありません。ですがこれは民間の保険に入ることで、傷病手当金と同等の保障を得ることができるため解決できます。ですので、心配な方はフリーランス協会などで保険に入ればいい、ただそれだけの話です。筆者の場合は、収入保障保険で月額1万円程度を支払っています。
年金は収入に余裕があれば国民年金基金に加入するのがお薦め
また年金についてですが、個人事業主の方は国民年金に加入する必要がありますが、これだと将来もらえる年金額が少ないです。そのため収入に余裕がある方は国民年金基金に加入することにより、将来もらえる年金額をカバーすることができます。
正社員と全く同一の保障が欲しければ法人化すればよい
ここまで書いてきてそれでも不安。正社員と同等の保障が欲しいという方もいらっしゃるかと思いますが、これらを一気に解決する方法があります。
それは法人化する事です。法人化すると役員報酬という形で、会社から給与を支給されるという形になります。そのため正社員と同じような社会保険に加入できるので、傷病手当もいただけますし、厚生年金にも加入することができます。
安定的に仕事が獲得できない
これはフリーランスの案件を安定的に獲得できないのではないかという不安に基づくデメリットかと思います。
IT業界は慢性的な人不足のため案件は豊富にある
これはITエンジニアのフリーランスに限った話で言いいますと、IT業界は慢性的な人不足なので仕事を獲得できないことはまずないと思います。
仕事を探すときは通常フリーランス専門のエージェントに依頼しますが、エージェント企業の数もたくさんありますし、紹介していただける案件もたくさんあります。
筆者の場合ですと、エージェントに案件探しを依頼すると毎回10案件は紹介されます。その後、興味のある案件に応募しますが、書類選考や面談を受けても落ちることはまずありません。
一方、年齢の壁はあるように思えます。様々な募集要項を見てみると、40歳までというのをよく見かけます。ですが職種によっては年齢はほとんど関係ない案件もあります。具体的にはPM(PMO)や構想フェーズや要件定義を行うITコンサル(SE)です。
安定的な仕事の獲得は結局は個人のスキル。正社員もフリーランスも同じ
世間では色々と言われていますが、結局は個人のスキルと人間性なのです。スキルがあれば仕事を獲得できますし、なければ獲得できない。スキルがあっても面倒くさい人であれば仕事を獲得できない。ただそれだけの話です。
これは正社員でも同じではないでしょうか。正社員であっても一生会社が守ってくれる保証などありません。利益がでなくなれば、スキルがない人からリストラされていきます。
フリーランスは案件の選択肢が豊富にある。自分の好きな案件を選べる
また案件が豊富にあるという事は、自分のやりたい案件を自由に選べるという事です。
正社員であれば選択肢が所属企業の案件に絞られますが、フリーランスであれば様々な立場での仕事をすることが可能です。例えば、ある時はパッケージベンダとしてパッケージ導入、ある時はSIerとしてシステム開発、ある時はITコンサルとしてシステム化構想、ある時は事業会社の情シスでベンダマネジメント、ある時は何もせずに休むなどです。
自分の希望に応じて様々な案件に参画できるのはメリットだと考えられます。
案件の切れ目は必ず発生するが対策は2つある
ですがどうしても案件の切れ目は発生します。こればかりはクライアントの都合によりますのでどうしようもないです。そのための予防策として大きく2つ考えられます。
1つ目は1年を10カ月と考えて、10カ月で必要な収入を稼ぐという方法。そうすると残りの2か月は案件探しに使えるため、仮に切れ目が発生したとしても、余裕をもって次の案件を探すことができます。
2つ目は複数案件を掛け持ち(稼働率50%ずつなどで)することです。1案件だけですと不測の事態が発生したときに対応できなくなります。その点、2案件を掛け持ちしておけば、どちらかが終了したとしても最低限の収入確保は可能です。
有給休暇がない
フリーランスは有給休暇なないので、必要な時に休めないのではないか?もしくは休んだら収入が減るのではないか?という懸念に基づくデメリットです。
通常は精算幅に基づく契約のため、休暇を取って収入が減ることはない
フリーランスは有給休暇はありませんが、私の知る限りIT系の仕事において、休んだからと言って収入が減るという事はほとんどありません。
なぜなら基本的には時間の精算幅で収入が決まっているからです。たとえば月140時間~180時間は100万円のような感じです。これは逆に言うと、月の労働時間が140時間を超えれば、あとは休んでも収入が減らないという事です。
単純計算ですが、1日8時間/月20日労働で計算すると月160時間になりますので、月2日(16時間)は休んでも収入は変わらないという事です。そう考えると正社員とあまり変わらないのではないでしょうか。
長期休暇が取れるのがフリーランスの圧倒的なメリット
また休暇についてはフリーランスに圧倒的なメリットがあります。
それは案件と案件の合間に好きなだけ休めるという事です。必要な収入さえ確保できてしまえば、1カ月でも2カ月でも半年でも休めます。
正社員であれば(育休や病気などを除いて)通常は数カ月の休みを取ることは難しいかと思います。これはフリーランスの最大のメリットだと考えます。
規則正しい生活は難しい
周囲から働く時間や場所を指定されないので、自分を律することができないと、規則正しい生活ができないとうデメリットです。
ほとんどの案件が働く場所と時間を指定されるので心配無用
IT系の多くの案件は働く時間と場所をクライアントから指定されることがほとんどです。場所については昨今ではリモートワークが主流ですが、時間については正社員と同じ勤務時間を求められることがほとんどです。ですので規則正しい生活が難しいという懸念は多くの場合は必要ありません。
働く時間が自由な場合、自分を律することができないと泥沼化の可能性あり
ですがやりようによっては、働く時間と場所が自由という契約を結ぶことも可能です。
その場合、個人としての意思の強さで自分を律する必要がでてきます。
油断すると生活リズムが崩れてしまいます。起きる時間が遅くなる、睡眠時間が不規則になるくらいならまだマシで、人によっては午前中からアルコールに手を出すなどして人生を棒に振ってしまう、最悪のケースもあったりするようです。
とはいっても自由がフリーランスの最大の醍醐味
ですが逆に言えば、自分で自分をコントロールすることができればフリーランスの醍醐味になります。会社員と比較して圧倒的に自由な時間を確保しやすいからです。
ちなみに筆者の例で恐縮ですが、基本は午前中しか仕事をしません。午後は会議があれば参加しますが、それ以外は仕事はしません。そして18時以降は絶対に仕事をしません。
一方、平日とか休日の区別はなく、午前中は必ず仕事をしています。筆者の場合はこのリズムが一番仕事がしやすいのです。
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